【管理組合向け】マンション長期修繕計画の見直し時期と具体的な進め方
- 達也 額賀
- 8月5日
- 読了時間: 7分

マンションの長期修繕計画の見直しを検討している方向けに、以下の内容を解説します。
長期修繕計画を見直す適切な時期
長期修繕計画見直しの具体的な流れ
長期修繕計画の見直しにかかる費用は?
長期修繕計画の見直しは専門家にお任せしましょう。
長期修繕計画を見直す適切な時期

マンションの長期修繕計画は、一度作成したら終わりではありません。建物の状況や社会情勢の変化に合わせて、定期的に見直しを行うことが大切です。主な見直しの時期は以下の通りです。
定期的な見直しの推奨時期(5年ごとなど)
国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」では、おおむね5年ごとの見直しが推奨されています。これは、以下の理由によるものです。
・物価や工事費の変動
建築資材費や人件費などの物価は常に変動しており、計画作成時と比べて実際の工事費用が大きく変わることがあります。
・工事内容の変動
劣化状況の変化や新たな技術の登場により、計画していた工事内容を見直す必要が出てくることがあります。
・適切な修繕積立金の確保
上記の変動に対応し、将来必要な修繕工事の費用を賄えるよう、修繕積立金額が適切か確認・調整するためです。
このように、定期的に計画を見直すことで、マンションの長寿命化と適切な維持管理が可能になります。
大規模修繕工事の実施前後
マンションの長期修繕計画は、大規模修繕工事の実施前後に見直すことが大切です。
・工事前の見直し
大規模修繕工事に着手する前に計画を見直すことで、直近の工事にかかる費用や、その後の修繕積立金の推移を把握できます。これにより、工事内容の取捨選択や費用抑制の判断が可能となり、将来的な資金不足を防げます。また、見直しを通じて将来の積立金不足が見込まれる場合は、早期に組合員と情報共有し、値上げについて議論を開始する機会となるでしょう。
・工事後の見直し
大規模修繕工事が完了した後にも、必ず計画を見直しましょう。これは、実際にかかった工事費用や、実施した工事内容、見送った修繕項目などを反映させ、長期修繕計画の精度を高めるためです。工事で判明した建物の状態や、新たな知見に基づいて計画を更新することで、より実情に合った、信頼性の高い計画にバージョンアップできます。
建物の劣化状況に大きな変化があった場合
長期修繕計画は5年ごとに見直すことが推奨されていますが、劣化状況に応じて修繕方法や周期を変更する必要があります。劣化診断などを実施し、建物の現状を正確に把握したうえで、計画されている修繕項目や時期、費用を実態に合わせて見直すことが大切です。特に、以下のようなケースでは、計画の見直しを検討すべきでしょう。
外壁や屋上防水など、主要構造部分の劣化が顕著に見られる
給排水管からの漏水など、設備の不具合が頻繁に発生している
耐震性に関わる構造体に懸念がある
計画の見直しは、マンションの資産価値を維持し、居住者の安全・安心を確保するために重要な対応となります。
長期修繕計画見直しの具体的な流れ

長期修繕計画の見直しの、主な進め方は以下の通りです。
見直し体制の構築(管理組合主体、専門家への依頼など)
長期修繕計画の見直しを進めるにあたっては、まず体制を構築することが重要です。主に以下の2つの方法が考えられます。
・管理組合主体で実施する
マンションの状況を最も把握しているため、実情に合った計画を作成しやすい
専門的な知識や経験が不足している場合、計画の妥当性や積算の正確性を確保するのが難しい可能性がある
・外部の専門家(コンサルタント会社など)に依頼する
建築・設備の専門知識に基づき、客観的かつ専門的な視点で見直しが可能
管理会社や施工会社ではない第三者の立場で、公平・公正な計画作成が期待できる
現地調査や建物診断、数量根拠の確認など、専門的な作業を任せられる
管理組合の合意形成に向けたサポートも依頼できる場合がある
費用が発生する
どちらの方法を選択するかは、管理組合の体制や専門知識の有無、予算などを考慮して決定します。専門家へ依頼する場合は、マンション管理組合のサポート実績が豊富な会社や、建築・積算のプロが在籍する会社を選ぶことが推奨されます。
現状の計画と建物の調査・診断
長期修繕計画を見直すうえで、まずは現状の計画がマンションの実態に合っているかを確認し、建物の劣化状況を正確に把握することが大切です。具体的には、以下の点を確認します。
・既存計画の妥当性
工事項目、時期、費用が現状の物価や技術に対応しているか?
国土交通省のガイドラインに沿って作成されているか?
・建物の劣化状況
専門家による建物診断を実施し、劣化箇所やその進行度を確認します
特に配管や防水など、水回りは劣化が早いうえに被害が大きいので注意が必要
専門家による診断は、マンションの将来像を予見し、適切なアドバイスを得るためにも有効です。
修繕工事項目、時期、費用の見直し
前回の計画以降の建物の劣化診断を行い、当初の計画通りで良いか、または前倒しや延期が必要な箇所があるかを確認します。特に、屋上防水や外壁、給排水管など、建物の維持に重要な項目は重点的にチェックが必要です。
次に、現在の物価や人件費の上昇を反映させ、工事費用の「実勢単価」に合わせて費用を見積もり直します。長年見直していない計画では、費用が大幅に不足する可能性があるため、最新の情報をもとに精緻な積算を行います。
修繕積立金の設定見直し
計画を見直すことで、将来必要となる工事費用の総額や時期が変動する可能性があります。物価変動や新たな劣化状況の発見などにより、当初の計画よりも費用が増加することも少なくありません。
適切な修繕積立金を設定することは、将来の修繕工事を円滑に進めるために不可欠です。積立金が不足していると、必要な工事が実施できなくなる、あるいは一時金徴収が発生するなど、居住者に大きな負担がかかる可能性があります。
見直しにあたっては、新たな計画に基づく工事費用の総額を算出し、現在の積立金の残高や将来の積立予定額と比較検討しましょう。その結果、必要に応じて積立金額の値上げや一時金の徴収などを検討し、計画に盛り込む必要があります。
計画案の作成と総会での承認
見直しによって作成された長期修繕計画案は、管理組合にとって正式な計画とするために総会での承認が必要です。一般的な管理規約では、長期修繕計画の変更は総会の議決事項(普通決議)と定められています。
総会に諮る前には、計画案の内容について組合員の理解を得るため、説明会などを開催することが望ましいでしょう。総会で計画が承認された後は、総会に出席できなかった組合員にも周知するため、議事録と併せて配布することが大切です。
長期修繕計画の見直しにかかる費用は?
長期修繕計画の見直しを専門家に依頼する場合、費用が発生します。費用はマンションの規模や調査内容によって異なりますが、一般的には数十万円から百万円以上かかることもあるでしょう。具体的には、以下のような費用が含まれます。
現状調査・建物診断費用
計画作成・見直し費用
費用対効果を考慮し、信頼できる専門家を選ぶことが、適切な計画見直しにつながります。
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