積算依頼の手順・要素と成功のための条件・ポイント
建設業界において、積算は非常に重要な業務です。正確な積算は、プロジェクトの成功と企業の収益性に直結します。
こちらでは、積算依頼の手順や要素、成功の条件について詳しく解説します。
積算依頼の手順
積算依頼を行う際には、以下の7つのステップを踏むことで、より正確で効率的な積算が可能です。それぞれのステップを確実に実行することで工事の全体像を把握し、適切な見積りを作成できます。
step1:プロジェクト概要の把握
まず、工事の規模や目的、期間などの基本情報を確認します。これにより、積算の方向性が定まります。
step2:設計図書の精査
設計図面や仕様書を詳細に検討し、工事に必要な材料や作業内容を明確にします。
step3:数量拾い出し
図面や仕様書から、必要な材料や作業の数量を正確に算出します。この段階での精度が全体の精度に大きく影響します。
step4:単価設定
材料費や労務費などの単価を、最新の市場価格や過去の実績を参考に設定します。
step5:工事費用の算出
数量と単価を掛け合わせて、直接工事費を算出します。この際、以下の項目に注意が必要です。
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材料費
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労務費
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機械経費
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下請け費用
step6:経費の計算
直接工事費に加えて、間接費や一般管理費などの経費を算出します。
step7:最終見積書の作成
すべての費用を合計し、利益を加味して最終的な見積書を作成します。
上記の流れを丁寧に進めることで、精度の高い積算が可能となり、適切な工事価格の設定につながります。
積算の主要な構成要素
積算の主要な構成要素は、工事にかかる全ての費用を正確に把握するための基本となります。これらの要素を適切に把握し、計算することで、精度の高い見積りが可能となります。主な構成要素は以下の4つです。
直接工事費
これは工事の実施に直接関わる費用です。主に以下の3つに分類されます。
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材料費:工事に使用する資材や部品の費用
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労務費:作業員の人件費
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直接経費:機械器具の損料、運搬費、電力料金など
間接工事費
工事全体の管理や仮設に関わる費用で、以下の2つに分類されます。
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共通仮設費:仮設事務所、安全管理費、現場内の環境整備費など
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現場管理費:現場監督者の人件費、事務用品費、通信費など
一般管理費
本社機能の維持に必要な経費で、以下のような項目が含まれます。
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本社スタッフの人件費
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事務所の賃借料
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広告宣伝費
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保険料 など
利益
企業の存続と成長に必要な利益を適切に見込みます。
これらの要素をバランスよく組み合わせることで、適正な工事価格を算出できます。各要素の割合は工事の規模や種類によって異なるため、プロジェクトごとに適切な配分を検討することが重要です。
積算依頼を成功させるための条件やコツ
正確な図面と仕様書の提供
正確な図面と仕様書の提供により、積算の精度が向上し、後々の手戻りや追加工事を防げます。また、施工段階でのトラブルも減少し、プロジェクト全体の円滑な進行につながります。
積算依頼を成功させるためには、正確な図面と仕様書の提供が不可欠です。これらの資料は積算の基礎となるものであり、その精度が積算結果に大きく影響します。
現場条件の詳細な情報共有
積算業務を成功させるためには、現場条件の詳細な情報共有が欠かせません。これにより、より正確な見積もりが可能となり、後々のトラブルを未然に防げます。
現場条件の共有すべき主な項目は以下のとおりです。
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地盤条件(土質や地下水位の状況、既存の埋設物の有無など)
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アクセス条件(工事車両の進入経路、資材搬入の制約など)
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周辺環境(近隣住民への配慮事項、騒音や振動に関する規制など)
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気象条件(降雨量や積雪量の予測)
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作業時間の制約(夜間作業の可否、休日作業の可能性)
適切な積算基準の選択
積算業務を成功させるためには、適切な積算基準の選択が欠かせません。積算基準とは、工事費用を算出する際の基本的な指針となるものです。以下のポイントに注意して、プロジェクトに最適な積算基準を選びましょう。
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工事の種類に応じた基準の選択
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最新の基準を使用
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地域性の考慮
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発注者の要求に合わせた基準の選択
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特殊な工事への対応
適切な積算基準を選択することで、より精度の高い積算が可能になり、工事の成功につながります。常に最新の情報を収集し、プロジェクトの特性に合わせた基準選びを心がけましょう。
最新の市場単価の反映
積算依頼の成功には、最新の市場単価を反映することが重要です。市場単価は、建設資材や労務費の実勢価格を反映した指標であり、これを適切に使用することで、より正確な積算が可能になります。例えば、デジタルツールの活用は最新の市場単価の反映に有効です。積算ソフトウェアの中には、最新の物価資料データを自動的に取り込む機能を持つものがあります。
リスク要因の考慮
積算依頼の成功には、潜在的なリスク要因を事前に考慮することが不可欠です。工事にはさまざまな不確定要素が存在するため、これらを適切に評価し、積算に反映させることが重要です。
主なリスク要因には以下のようなものがあります。
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天候リスク:悪天候による工事の遅延や資材の劣化
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地盤リスク:予期せぬ地盤の状態変化による追加工事
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資材調達リスク:資材の価格高騰や納期遅延
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労働力リスク:熟練工不足や労務費の上昇
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法規制リスク:建築基準法改正などによる設計変更
専門家との連携
積算業務の成功には、専門家との連携が欠かせません。以下に、専門家との効果的な連携方法をご紹介します。
・積算士の活用
積算士は、専門的な知識と経験を持つ資格保有者です。積算士と連携することで、より精度の高い積算が可能になります。
・コンサルタントとの協力
外部のコンサルタントと協力することで、新しい視点や最新の業界動向を取り入れられます。
・現場経験者との意見交換
実際の現場経験者と意見交換を行うことで、理論上の積算と実務上の課題のギャップを埋めることができます。
専門家との連携におけるポイントは以下のとおりです。
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明確な役割分担
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定期的な情報共有
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オープンなコミュニケーション
このような連携により、以下のメリットが期待できます。
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精度向上:専門知識の活用による積算精度の向上
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リスク軽減:多様な視点によるリスクの事前把握
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業務効率化:専門家の知見による作業の効率化
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自社の信頼性向上:専門家の関与による積算結果の信頼性向上
専門家との連携を通じてより正確で信頼性の高い積算を実現し、プロジェクトの成功につなげましょう。
精度の高い積算を目指すならデジタルツールや専門家の活用がおすすめ!
積算を外部に依頼するにあたり、正確な情報提供をはじめ、積算ツールや専門家の活用、リスク管理が非常に重要です。上記のポイントを押さえることで、より精度の高い積算が可能となり、プロジェクトの成功確率を高められます。正確かつ効率的な積算を行い、プロジェクトの円滑な進行と成功を目指しましょう。
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