積算の外注先を選ぶ前に相場を把握しよう!
見積り依頼のコツと注意点とは
積算業務を外注する際は、事前に費用の見積りを依頼しましょう。その際、1件だけでなく複数業者に依頼することをおすすめします。なぜなら、複数業者に見積りを依頼することで、比較・検討しやすくなるためです。
こちらでは、積算を外注する重要性や相場を把握する必要性、見積り依頼時のコツと注意点について解説します。
積算外注の基本と重要性
建設プロジェクトにおいて、正確な積算は非常に重要です。しかし、社内リソースだけでは対応が難しい場合もあります。そこで注目されているのが積算の外注です。
積算外注とは、建設プロジェクトの数量拾いや見積書作成などの業務を、専門の積算業者に委託することを指します。
積算を外注する主な理由には以下のようなものがあります。
-
社内の人員不足や専門知識の不足を補う
-
短期間での大量の積算業務をこなす
-
より正確で信頼性の高い積算結果を得る
積算外注のメリットとデメリットは以下のとおりです。
積算外注のメリット
-
積算業務の効率化を図れる
-
専門知識を活用できる
-
社内リソースを他の業務に集中できる
-
正確性と品質の向上が期待できる
積算外注のデメリット
-
コストがかかる
-
社内のノウハウ蓄積が進みにくい
-
情報セキュリティのリスクがある
積算外注を検討する際は、プロジェクトの規模や重要性、社内のリソース状況などを総合的に判断することが大切です。また、外注先の選定や管理方法についても十分な注意が必要です。
積算外注を効果的に活用することで、建設プロジェクトの成功率を高め、競争力を向上させることができるでしょう。
積算外注の依頼前に相場を把握する必要性
積算を外注する際、まず重要なのが相場の把握です。相場を知ることで、適切な予算設定や業者選定が可能となり、プロジェクト全体の成功につながります。
積算代行の相場は、主に工事の規模や建物の種別、数量積算の範囲、構造体の種別などのよって変動します。例えば、同じ延床面積の建物でも、高級マンションと倉庫では積算にかかる手間が異なるため、料金も変わってきます。
また、積算外注の料金体系も単価方式・料率方式など代行業者によってさまざまです。そのため、複数の業者から見積りを取得し、比較検討することが重要です。相場を把握することで、不当に高額な見積りを避けられるだけでなく、逆に安すぎる見積りにも注意を払えるようになります。極端に安い見積りは、品質や納期に問題がある可能性があるためです。
正しい判断力を持つことで、コストと品質のバランスが取れた外注先を選定できます。これにより、プロジェクト全体の成功確率を高めることができるのです。
見積り依頼のコツと注意点
適切な見積り依頼書の作成方法
適切な見積り依頼書を作成することは、正確な見積りを得るために非常に重要です。見積り依頼書には以下の項目を明記しましょう。
-
代行業務の範囲
-
見積りの回答期限
-
積算の納期
見積り依頼書には求める代行業務の範囲を明確に記載することが重要です。例えば、積算業務の中でも拾い出しのみを依頼するのか、単価入力まで含めるのかなど、具体的に指定しましょう。
積算は設計図や仕様書から材料・数量を拾い出し、建設に必要な工事費の見積りを算出する業務であり、1件の概算に数十時間~数百時間かかるとされています。見積りの回答期限や納期についても、工事の規模や対応範囲などを考慮しつつ、無理のない期日を設定し、明記することが大切です。
以上の点に注意して見積り依頼書を作成することで、より正確で信頼性の高い見積りを得ることができます。
必要な情報と資料の準備
積算を正確かつ効率的に行うためには、事前に必要な情報と資料を準備することが重要です。以下に、準備すべき主な資料をまとめました。
・積算の基準となる資料
-
国土交通省土木工事積算基準
-
月刊 建設物価
-
積算資料
これらの資料は、積算の基本となる単価や歩掛かりの情報を提供してくれます。特に「月刊 建設物価」や「積算資料」は、国土交通省の基準をわかりやすくまとめているため、参考にしやすいでしょう。
・契約に関する資料
-
契約書
-
契約約款
-
図面
-
仕様書(共通仕様書、特記仕様書)
これらの資料は、工事の範囲や条件を明確にするために必要不可欠です。特に図面と仕様書は、積算の根拠となる重要な資料です。
・施工条件に関する資料
-
気象データ
-
環境アセスメントに関する報告書
-
地形図
-
水位データ
-
輸送計画書
-
労務計画に関する書類
-
材料検査計画書
これらの資料は、工事の実施環境や条件を把握するために必要です。特に屋外工事の場合、気象や地形などの情報は積算に大きな影響を与えます。
・施工計画書
施工計画書には、工事の手順や使用する機械、材料、工期などの情報が含まれています。ただし、積算の過程で細かい工法が決定されたり、修正されたりすることもあるため、柔軟に対応できるものを準備しましょう。
・任意仮設等数量計画書
この資料には、型枠面積や支保工数量など、仮設物に関する詳細な数量が記載されています。実際の施工量と図面上の数量の差異を考慮した計画を立てることが重要です。
これらの資料を事前に準備することで、積算作業がよりスムーズに進み、精度の高い見積りを作成することができます。
複数の業者に見積りを依頼する重要性
積算の外注を依頼する際、1社だけでなく複数の業者に見積りを依頼することが非常に重要です。これには以下のようなメリットがあります。
・公平性の確保
複数の業者から見積りを取ることで、「言い値(相手が言ったとおりの値段)」での受注を防ぎます。これは公共工事などで行われる「入札」と同じ考え方です。
・適正価格の把握
複数の見積りを比較することで、市場の相場感をつかむことができます。これにより、不当に高額な見積りや、逆に品質に不安のある低価格な見積りを見分けることができます。
・選択肢の拡大
複数の業者に依頼することで、さまざまな提案や解決策を得られる可能性が高まります。これにより、より良い選択肢を見つけることができます。
・交渉力の向上
複数の見積りがあることで、価格交渉の際に有利な立場に立つことができます。
・信頼性の証明
特定の業者を選ぶ際、複数の見積りを取ることで、その業者の正当性を証明することができます。これは、寄付者や建設委員会などの関係者を説得する際に役立ちます。
ただし、複数の業者に見積りを依頼する際は、以下の点に注意が必要です。
-
すべての業者に同じ条件で見積りを依頼すること
-
工事計画や要求事項を明確にしておくこと
-
各業者の見積りを公平に評価するための基準を設けること
これらの点に留意しながら複数の業者に見積りを依頼することで、より適切な外注先の選定が可能となります。